スズメバチというクマやセアカゴケグモより危険な生物
スズメバチは怖い顔をしているが実際に、怖い。
熊や蛇、セアカゴケグモにヒアリ、色々とマスコミが騒ぎ立てる。映画はサメや竜巻の恐怖をかきたてる。
しかしどれもこれも実はスズメバチと比べるとほとんど被害は出ていないと言えるくらいに、スズメバチの被害は大きいのだ。ちなみにここで言う被害というのは死者の数である。
統計のグラフなどを見てもらえればすぐにわかるくらいに、スズメバチは攻撃的で実際の被害が出ている日本で最もヤバイ生き物といえる。
ハチは身近な昆虫である。ただ、ミツバチを猫と考えると彼らは虎といえるくらい違うのだ。ミツバチは花の蜜を集めるがスズメバチの好きなものはお団子である。
なんのお団子か?
昆虫の肉団子である。。。
花の蜜も食べられるが、肉食なのだ。そしてほぼそちらが主食である。もうなんだか全部攻撃的な感じである。
餌が不足した場合は同類も襲うし同じ巣の幼虫も食糧にする。
こちらはミツバチの巣の襲撃動画。普通にハチ界でも恐怖の存在、それがスズメバチである。
スズメバチの毒針
彼らは毒の針がトレードマークだが、その起源はさらに恐ろしいことに、寄生のために卵を産み付ける特殊な産卵管であった。
今では巣で安心して子供を育てられるため、毒針という器官に進化したのだ。もちろんそのために毒針はメスしかもたない器官である。
ここで良いニュースと悪いニュースがある。
良いニュース
上記の由来により、スズメバチのオスは産卵管がない、つまり毒針も持たず刺すことはできない。
悪いニュース
ミツバチだろうとスズメバチだろうと巣の外に出て山やら町やらに繰り出してくる勤勉な働き蜂さん。彼らは基本的にメスである。
….
見つけたら性別の確認をする必要はない。刺激せずに逃げよう。。。
ちなみにハチという種類自体で見るとこうした寄生バチという生態はかなりメジャーなグループである。
スズメバチの種類はどうかというとそれにも驚くほどの多様性がある。なんとその総数は数十万種にのぼると推定されている。
また、オスについてはミツバチもそうだが巣で繁殖活動を担っている。
その他スズメバチトリビア
多くのスズメバチはイモムシやカブトムシのような昆虫を捕食することで害虫の個体数をコントロールするという重要な役割を担っている。
もちろん彼らは花粉媒介者としての役割も果たしており、蜜を吸って花から花へと花粉を運んでいる。
人に害をなす側面がピックアップされがちだが、無暗に駆除をすると人間を含む生態系にどんな影響があるかはわからない。
オオスズメバチのように、植物に特殊な構造物(巣)を形成させ、幼虫に食料と隠れ家の両方を提供するスズメバチもいる。
アメリカ軍のF18戦闘機の名前にもなっているスズメバチ。
スズメバチは複雑な社会構造を持っており、女王蜂、働き蜂、雄蜂がそれぞれ明確な役割を持っている。
多くのスズメバチ種の雌は、未受精卵を産むと雄を、受精卵を産むと雌を産み、子孫の性別を決めることができる。
スズメバチVSミツバチ
ミツバチの巣を襲うことがあるが彼らは天敵でもある。ミツバチは集団でスズメバチにくっついて熱でスズメバチをノックアウトすることができるのだ。
ではミツバチも温度で死んでしまうのかというとそんなことはない。これはどういう原理かというと、ミツバチが耐えられる温度は約50度、スズメバチは人間の風呂と同じくらいの限界の約45度だ。その5度ほどの耐熱温度の違いをミツバチは使っているわけだ。
スズメバチのハチミツってないの?
結論:ない。
序盤に述べたように昆虫や昆虫の肉団子ばかり食べる肉食獣である。ミツバチは花の蜜を主食とし、また蜜を集めて巣に貯蔵し発酵させる性質があるため、ハチミツがとれる。
ということで、
万が一スズメバチの巣から採れるとすればそれは団子汁であろう。怖
スズメバチとミツバチや他の蜂との違い、比較一覧表
この際なのでスズメバチとミツバチだけでなくアシナガバチやクマバチまでまとめて表で整理。
項目 | スズメバチ | ミツバチ | アシナガバチ | クマバチ |
---|---|---|---|---|
巣の大きさ | 最大70cm程度 球状または楕円形 | 直径10-30cm 巣は平ら | 左に同じく直径10-30cm程度 開放的な形状 | 小さく直径5-10cmほど 木の中に作る。床下や屋根裏などにも。 |
巣の特徴 | 複雑な構造、外側は紙状の素材で覆われる | 蜜を貯蔵するための部屋あり | 巣穴が外からよく見える、なんなら幼虫も観察可能 | 隠れた巣なので大抵目立たない。形は縦穴が多い。メスが木をかじったりして一匹で頑張って作る |
組織形態 | 社会性 女王蜂、働き蜂、雄蜂がいる | 社会性 女王蜂、働き蜂、雄蜂がいる | 社会性 女王蜂、働き蜂がいる | 単独性 女王蜂は存在しない |
食性 | 肉食性 他の昆虫を捕食することも | 花の蜜や花粉を食べる | 花粉を食べる、昆虫もたまに | 花の蜜や花粉を食べる |
危険性 | 毒性が強く攻撃的 | 攻撃性は低い 巣を守るときは別 | 攻撃性は低い 巣を守るときは別 | こちらも攻撃性は低いが刺激すると刺してくる |
活動時間 | 昼行性 | 昼行性 | 昼行性 | 昼行性(みんな夜は寝ます) |
生息環境 | どこでも | どこでも | どこでも | 森林や草地が好き |
繁殖方法 | 女王蜂が巣を作り、卵を産む | 女王蜂が巣を作り、卵を産む | 女王蜂が巣を作り、卵を産む | つがい単独で繁殖 |
季節性 | 春から秋にかけて活動。こちらもどのハチも同じである | 春から秋にかけて活動 | 春から秋にかけて活動 | 春から秋にかけて活動 |
繁殖サイクル | 春に女王蜂が巣を作り、夏に巣が成長 | 春に女王蜂が巣を作り、夏に巣が成長 | 春に女王蜂が巣を作り、夏に巣が成長 | 春に巣を作り、夏に繁殖 |
寿命 | 働き蜂は数ヶ月、女王蜂は1年程度 | 働き蜂は数ヶ月、女王蜂は数年 | 働き蜂は数ヶ月、女王蜂は1年程度 | みんな約一年 |
さて、作り終えての感想。
少し若者風に言わせてもらうと、
クマバチしか勝たん