ユキヒョウという優しい動物
ユキヒョウは優れたクライマーだ。標高6000メートル(標高18,000フィート)でも目撃されています。またマヌル猫のように岩場や渓谷のある険しい地形を好む。
尾の長さはヒョウと同じほどで1メートルにも達する。この長さはバランスをとるためだけでなく、休息中に尾を体に巻きつけて暖をとるためでもある。ふかふかしているだけでなく中はたっぷり脂肪がある。色々な面で効率よく栄養を蓄えて活用しているといえるだろう。
とらえどころのなさから「山の幽霊」とも言われる。めったに目撃されることはなく基本的に個体同士が孤独な生活を送っている。
あまり長くはないが強力な後ろ足を持つ。生息地の険しい崖を移動する際に便利な、50フィート(約1.5メートル)もの距離を跳躍することができる。
大きな前足は天然のスノーシューの役割を果たす。大きな表面積で圧力が分散するので雪に沈むのを防ぐ。裸足だが雪駄を履いているようなものである。
すべてのユキヒョウにはある程度のユニークさがある斑点模様がある。これのおかげで研究者あh野生の個体を識別することができる。
他の大型ネコ科動物とは異なり咆哮することができない。代わりに「チャフ」と呼ばれる鳴き声を出す。
人間にほとんど攻撃性がない。肉食動物であるにもかかわらずユキヒョウは人間に対して攻撃的でないことが知られている。
ユキヒョウが人間を攻撃した例も知られていない。上記の咆哮しない特徴とあわせて考えると大型肉食獣の猫より家猫のようにもみえる。
目は金色の目を持つ他の大型ネコ科動物とは異なる。灰色、薄い黄色、薄い緑色といった感じの少し地味な色をしている。これは日差しの強い高地に生息するための適応である。
現在は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種(Vulnerable)」に指定されている。野生のユキヒョウは4,000~6,500頭と推定される。個体数の減少は、主に生息地の分断、牧畜民による報復的な殺害、毛皮や骨を目的とした密猟、獲物の枯渇によるものである。
主にアオヒツジやアイベックスのような偶蹄類を捕食します。大型の獲物が少ないときは、マーモットやノウサギ、鳥類などの小型の哺乳類も食べる。
アフリカのサバンナとアジアの高山で、生息地の環境も位置も全く違うヒョウと比べると、食べる動物もおとなしめだ。ヒョウの方は素早さや大きさもある動物をバイキングのように食べる。キリンだって食べる。
さて、ライバルとなる動物を考えるとユキヒョウは高地に生息するため天敵は多くない、というかいないに等しい。しかしオオカミや他の大型肉食動物との餌の奪い合いに直面することはある。
もちろん密猟者の人間は例外的に大の天敵である。
先ほども少し述べたがユキヒョウは単独行動動物であり、群れを形成することはない。夫婦でもそういった感じで、オスとメスは交尾の時だけ一緒になりその後は別々になる。
ユキヒョウは一夫一婦制ではなく繁殖期には1頭のオスが複数のメスと交尾することもある。
一般的に人間を避けるため直接的な人間への脅威はほとんどない。しかし家畜を捕食することが知られていて牧畜民に経済的な苦難をもたらすことがある。
活動時間としては夜明けと夕暮れに最も活発に活動する。個体差はあるので夜行性である場合もある。
ヒョウと比べるとユキヒョウは実は少し小柄な体格である。そのため体重も勿論すこし軽い。
ユキヒョウと、ヒョウとクロヒョウの違い
3種のよく聞くヒョウのまとめがこちら。
ちなみにクロヒョウことブラックパンサーは有名だが、実はただのメラニスティック変異の個体である。
アルビノ個体の逆版のようなもので実態はほぼ通常のヒョウであることがわかってもらえると思う。
ユキヒョウ | ヒョウ | クロヒョウ(ブラックパンサー) |
---|---|---|
学名: Panthera uncia | 学名: Panthera pardus | 学名: Panthera pardus (メラニスティック変異) |
生息地: 中央アジアの山岳地帯 | 生息地: アフリカ、アジア、インド | 生息地: アフリカ、アジア、インド |
体重: 22-55 kg | 体重: 30-90 kg | 体重: 30-90 kg |
毛色: 灰色またはクリーム色に黒いロゼット(斑点) | 毛色: 黄褐色または金色に黒いロゼット | 毛色: 黒い毛皮(ロゼットは見えない) |
尾: 長くて太い、体長の約90% | 尾: 中程度の長さ、体長の約70% | 尾: 中程度の長さ、体長の約70% |
環境: 高山の岩場や草原 | 環境: 森林、草原、山地 | 環境: 森林、草原、山地 |
行動: 主に夜行性、薄明かりの時間帯に活動 | 行動: 夜行性、日中も活動 | 行動: 夜行性、日中も活動 |
繁殖: 一度に2-3匹の子供を産む | 繁殖: 一度に2-4匹の子供を産む | 繁殖: 一度に2-4匹の子供 |
保存状況: 絶滅危惧種 | 保存状況: 準絶滅危惧種 | 保存状況: 準絶滅危惧種 |
特徴: 厚い毛皮と大きな足で雪に適応し、優れた跳躍力を持つ | 特徴: 強力な体と優れた木登り能力、適応力が高い | 特徴: メラニスティックで目立たない外見、通常のヒョウと同じ行動特性を持つ |
パンサー、レパード、レオパルト?多いヒョウの表記
ちなみにパンサー、パンテラ、また、レパード、レオパード、レオパルトも全てヒョウという意味だ。
ケーブルテレビの動物番組などでスノーパンサーやブラックレパードと聞いてもただのユキヒョウ、クロヒョウなので安心してほしい。
アップルはMacOS X レパードををリリース。2024年にはウクライナ戦争でドイツの戦車レオパルト2の派遣が話題になった。
しかし上記のことがわかっていれば、MacOS Xヒョウがリリースされたか、ドイツはヒョウ2をウクライナに送るのか、と脳内でわかりやすく?変換できるはずだ。