瞬膜という動物界の定番ゴーグル
瞬膜とは何か 第三のまぶたの不思議
瞬膜(しゅんまく)または第三眼瞼。
これはいくつかの動物に存在する半透明または透明な第三のまぶたです。私たちが知っているまぶたは上下に動きますが瞬膜は眼球上を水平に動くという特徴があります。
通常のまぶたと同じく瞬膜も眼球を潤し埃やゴミから保護する役割を持っています。しかし最大のメリットは瞬膜を閉じた状態でも視界を確保できるという点なのです。この機能は目の保護が極めて重要でありながら視力を損なうわけにはいかない環境にいる動物にとって特に有用です。
人間の視点で考えるならゴーグルが必要な環境にいる動物が、ゴーグルを開発する代わりに生まれながらにしてその機能を持つまぶたを進化させたと考えると理解しやすいかもしれません。
瞬膜界隈といえばやはり鳥
百聞は一見にしかずということで以下の参考映像を。
もちろんフクロウだけではない。
瞬膜界隈?で有名なのは特に上に上げたフクロウやワシ・タカなどで有名な猛禽類である。また同じく猛禽類であるハヤブサも代表的かもしれない。共通するのは彼らの速度。
高速で移動する際に戦闘機のパイロットのように目を保護し、なおかつ視界を確保する必要がある。そのため彼らの多くは瞬膜を備えているわけです。
面白いところではキツツキも瞬膜を持っています。林業をしている人がチェーンソーを使うときにゴーグルを着用するのと同じように、キツツキは木をついばむ際に飛び散る破片から目を保護するために瞬膜が必要なのです。
水鳥ではカモやペンギンなども持っています。やはり水や海水から目を守るためです。
実はかなり身近な動物も持ってます
実は私たちの身近な動物も瞬膜を持っています。犬や猫も普段は見えないだけで瞬膜を持っているのです。健康な場合は通常完全には見えませんが病気のために目立つようになることがあります。
人間はどうなのかと疑問に思う方もいるでしょうが、私たち人間の瞬膜は退化しており半月襞(はんげつひだ)という痕跡器官が残っているのみです。
ただし哺乳類全体を見れば瞬膜が残っている種もいます。ホッキョクグマやアシカ、アザラシなどの海洋哺乳類は水中で眼球を保護し海水から目を守るために瞬膜を持っています。また氷の上で生活する彼らは強い日差しから目を守るためにも瞬膜を活用しています。
ラクダも瞬膜を持っています。砂漠地帯で砂から大きな目を守る必要があるからです。同様に爬虫類であるヘビやトカゲ、特に砂漠地帯に生息する種は瞬膜を持つ傾向があります。
瞬膜の意義と共通点
両生類であるカエル、猛禽類のように獲物に襲いかかる瞬間に猛スピードになるサメも瞬膜を持っています。
すべての動物に共通する瞬膜の主な機能は「保護」と「視界の確保」です。空気抵抗、ほこり、砂、水、乾燥から木の破片まで多くの環境上の危険から目を守りながら同時に視界を確保する必要がある動物にとって、瞬膜は必須の適応なのです。
動物園に行った際には動物たちの瞬きの際に見られるかもしれない、この自然のゴーグルに注目してみてください。特に大型の鳥類では急にX-menのストームみたいに目が白く変わり、くっきりはっきりと瞬膜を見せてくれる鳥もいるのでチェックしてみると面白いかと思います。