バオバブという生命の木
バオバブの特徴と分布
バオバブは「大量の水を蓄える生命の木」「樹上にいくほど枝の太さが細くなる逆さの木」このような特徴でよく知られているアフリカに特徴的な樹木です。実際、主にアフリカのとなりのマダガスカルやアフリカ大陸、そしてオーストラリアの乾燥地帯に生えています。
そう、バオバブといえばアフリカのイメージが強いですが実はオーストラリアにも自生しているのです。これはなんと人間による植樹ではなく、約1000万年前にアフリカからインド洋を海流に乗って自力で到達したと考えられています。。。
こちらオーストラリアのバオバブ映像。
また発祥地についても今やアフリカ大陸の定番のような木でありながら、アフリカ大陸ではなくむしろマダガスカル島だとする説が有力とされています。
細かいことを言うと例外的にインドの一部地域にも、持ち込まれたバオバブが自生している地域があります。とにかくこれらの生息地に共通しているのは乾燥気候という点でしょうか。
そして経歴ではなく木のプロファイルについて述べると、幹の直径は最大11メートル、高さは最大30メートルという巨大なサイズに成長し瓶のような形状や先細りのユニークな形をしています。
種類により大きさは異なりマダガスカルのグランディディエリという種類が最大で、アフリカバオバブは約25メートル、オーストラリアのギボーサ種は15〜20メートル程度の高さに成長します。
水の貯蔵能力と多目的利用
バオバブの最も驚くべき特徴は水を蓄える能力です。そのユニークな形状によって幹に水を蓄えることができ1本の木で約12万リットルもの水を蓄えられるといわれています。
バオバブは様々な用途に利用されてきました。樹皮は耐火性があり布やロープの材料になります。葉は調味料などに使われます。果実は「モンキーブレッド」とも呼ばれビタミンC、カルシウム、抗酸化物質を多く含みジュースやジャムの原料となります。果肉に含まれる種子は焙煎して挽くとコーヒーの代用品になり圧搾すると食用や化粧用の油になります。
幹の空洞部分は乾燥時の水貯蔵場所やシェルター、店舗、牢獄、礼拝堂として利用されることもあります。さらにアフリカの特定の文化圏では埋葬地としても使われてきました。
バオバブの文化的意義と生態系における役割
バオバブはアフリカの多くのコミュニティで重要な文化的意味を持ちしばしば集会所として使われてきました。神話や民間伝承にも頻繁に登場し文化的アイコンとしての地位を確立しています。
バオバブは何千年も生き続けることができ最古のものは樹齢6,000年以上と推定されています。このような長寿命を持つ樹木は稀です。
興味深いことにバオバブは夜に花を咲かせ腐肉のような匂いを放ちます。この特徴によってコウモリやタカコウモリ、ブッシュベイビーなどの夜行性の動物が集まり受粉を助けています。
こちらは花が開くシーン。サムネがちょい怖いかもしれないが、なんだか神秘的なので是非見てほしい。
バオバブはその大きさと寿命から炭素隔離において重要な役割を担っています。また樹皮を食べるゾウから枝に住む鳥や昆虫まで多くの生物に生息地と食料を提供している重要な生態系の一部です。
バオバブの特異な生物学的特徴
バオバブのもうひとつのユニークな点は他の多くの樹木とは異なり年輪を形成しないことです。このため樹齢を特定するのが難しく放射性炭素年代測定法によってその長寿が証明されています。
またバオバブは傷ついた茎や失われた茎を再生する能力があります。その結果複数の茎が融合して別々の木のように見えることがありますが実際はすべて同じ個体の一部であることもあります。
9種類あるバオバブのうち6種がマダガスカル原産で2種がアフリカ大陸、1種がオーストラリア原産です。
ほとんどアフリカの代名詞のような木であるにもかかわらず、やはり冒頭述べたようにマダガスカル原産説が有力で、このように種類としても9種のバオバブのうち6種がなんとマダガスカル原産です。
動物の固有種も多いのでも有名な島ですが、マダガスカルって一体…。
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