珍獣カモノハシのトリビア 皮膚から授乳?オスの毒針?
哺乳類と爬虫類の間
カモノハシたちは東オーストラリアとタスマニアにいる哺乳類と爬虫類の間の性質を持つ特殊な動物だ。哺乳類の中でも小さなグループである単孔類に属し、生きている子供を産む代わりに卵を産む。
彼らは、ハリモグラ(単弓類に属する唯一の哺乳類)など他の変わった哺乳類と比較してもユニークさは際立っている。ちなみにハリモグラもカモノハシも卵を産むが、カモノハシは半水棲である。
哺乳類だけども、あれがない? カモノハシの授乳
メスのカモノハシには乳頭がない。腹部の皮膚からミルクを分泌して子供にミルクを与える。これは卵以外の哺乳類や爬虫類との進化的なつながりが表出している側面とみられる。
なんでこんな仕組みで授乳するかというと、他の哺乳類のように乳腺を持つが、乳首がないのである。なので皮膚から分泌してしまおうというわけだ。
彼らは毛がフサフサなので、授乳について想像しやすく例えるならば、握ると泡が出るスポンジのようなイメージである。
生息地は通常、巣穴を作る川、小川、湖を含む。また、主に水生の無脊椎動物を主食としている。
泳いでいる光景をテレビなどで見たことがある人が多いと思うが、実は彼らは潜水も得意だ。獲物を探している間、一度に何分も水中に潜っていることができる。これは他の多くの哺乳類よりもかなり低い代謝率のためであり、長時間酸素を吸わずに生き延びることができるのだ。
ちなみ遥か昔、保存されたカモノハシの遺体を初めて調査したヨーロッパの博物学者たちは完全に困惑し、中にはデマだと考える者さえいた。
カモノハシの研究は、生化学、神経生物学、進化生物学など複数の分野で依然として重要な研究分野といえる。
現在、絶滅危惧種とはみなされていないが、土地開発、汚染、河川の堰き止めなどの人間活動のために生息地は縮小している。
オスのカモノハシは毒針持ち
卵で生まれる哺乳類であり、皮膚からミルクを出す雌。こうしたインパクトに比べると忘れられがちだが、オスも特徴がある。哺乳類ではかなり珍しく後肢に毒針を持つのだ。
種的に関係ない話だがハチの毒針などはメスであるし、オスだけ毒針というのが哺乳類という枠を超えてなんだか珍しい。ちなみに繁殖期に他のオスとの争いに役立つようだ。
ところで人間がカモノハシに刺されると、激痛や腫れたりはするが、命に関わるといったものではない。あくまで一般的にだが。
鼻には電気センサー
彼らのトレードマークの鼻。奇妙なアヒルのようなかわいい形が目立つがそれもハイテクである。なんと電気受容器を内蔵しているのだ。
鼻にある数万個の電気受容体はカモノハシが獲物から発生する微小な電界を感知するのを助ける。これで位置や獲物の種類の判定まですることができるのだ。資格や嗅覚がそれほど発達していないカモノハシにとってこの優れた鼻センサーはかなり有用な道具といえる。
そしてやはり、こうした方法で獲物を獲る哺乳類というのもやはり稀である。以上、色々レアな特徴を兼ね備えたアヒルのようなかわいい動物、それがカモノハシなのである。