飛ばないフクロウ、カカポ
まず、カカポはオウムの一種である。
しかしカカポの学名Strigops habroptilus(ストリゴプス・ハブロプティルス)は、そのフクロウみたいな外見を反映したものだ。
「Strigops」はフクロウの特徴を示し「habroptilus」はその柔らかい羽毛を意味する。
ラテン語的にはヤワラカフクロウオウムのような感じだ。
そして実際以下の動画などで見てもらえればわかるが、カカポの顔はフクロウに機能の面からも酷似した輪郭をしている。
その円盤のような顔の羽は音を集中させ、夜行性の生活を助ける特徴だ。
そしてフクロウのような顔の特徴だけでなく非常に発達した夜間視力も持つ。
彼らの目は頭の大きさに比例して大きい。こちらもフクロウと類似した特徴だ。
2600万再生のカカポのミーム動画 シロッコ
カカポの写真を貼ろうと思ったが動画で面白いのがあるのを思い出したので是非見てほしい。
知っている方もいるかもしれないが有名なカカポ、シロッコだ。
このカカポは動物学者の頭と「交尾」している動画がネット上で拡散されたことで有名だ。
見てない人は是非見てほしい。別にいやらしくないのでその点は心配しないでほしい。というかコミカルすぎて笑ってしまうと思う。普段ゆっくりなカカポの本気の動きも見れるので是非。
結構この動画でカカポを知った人は多いと思う。
彼の後頭部がどうなっているかは多少心配であるが、左右からカカポに叩かれるのはなんだか幸せそうだ。笑
カカポのトリビア続き。ミームだけじゃない、90歳まで生きるおかしな匂いの鳥
カカポは草食動物だ。
自生するさまざまな植物、種子、果実、葉を食べる。丈夫な足と爪で木に登ってジャンプして翼で降下をコントロールする「パラシュート」降下もできる。
他の鳥とは際立って違う特徴もある。カカポは独特の匂いをもつ。
花やハチミツなどいい感じの匂いに例えられることもあるが、かび臭いというのもよくある表現だ。個人的にもどちらも正解だと思う。何か、いい意味でも悪い意味でも、生臭いのである。(言葉は悪いが。。)
この匂いは森の環境に溶け込み、捕食者からカモフラージュするのに役立つ。
しかし、遠くからの人の入植後はこの匂いを頼りに狩りをする哺乳類捕食者の出現があり、この本来の進化的適応が完全に仇となっているのが悲しい現実である。。
彼らは鳥のなかでも長寿の部類に入る、多少長寿という水準の話ではない。
カカポはなんと90歳を超えることもあるのだ。この長寿は鳥類としては驚くべきことである。
しかしそれはカカポにとって繁殖速度が遅く繁殖の機会が少ないということでもあるのだ。保護の面からは独特の課題をもたらしているといえる。
カカポは野生だと単独行動的な性質である。しかし孤独主義という訳でもない。同種や人間との間に強い絆を結ぶことができる。好奇心が強く、時には遊び好きな行動で知られている。
論より証拠である。こちらを御覧ください。こんなごろごろぐでんぐでんしてる鳥見たことない。
鳥類では珍しい発声学習能力がある。
というのも先述の通り彼らはフクロウっぽい顔をしているだけでオウムなのだ。なので彼らは環境からの音を真似ることができる。この能力は彼らの社会的相互作用や、おそらくは交尾相手を引きつけることに一役買っていると考えられている。
ライフスタイルに特別に適応したくちばしと足を持っている。くちばしは食べ物を細かくすりつぶすように設計されていて、足は登山のために強い。飛べない一方で彼らは優秀なクライマーだ。森の樹冠や地上を機敏に移動することができるのだ。
カカポの飛ばないことはエネルギーを節約する適応でもある。
我々人間も知っての通り鉄道や電車と比べると飛行機は比べ物にならないくらい恐ろしくエネルギーを消費する乗り物だ。
カカポはこれがわかっている。飛ばないことでかなりのエネルギーを節約しているのだ。これは食料が乏しく過酷で変動しがちな自然の生息地で生き延びるために重要なことといえる。
カカポの羽毛は苔のような緑色だ。これにも理由がある。彼らの生息地は森林なので強いカモフラージュ効果を発揮する。羽毛は他の鳥に比べて柔らかく、毛のようで、音を消すのに役立ち、夜間の静かな動きを助けてくれる。
また、羽毛はカモフラージュの役割を果たすだけでなく個体によって若干の違いがあり、黄色や茶色が強い個体もいる。
保護活動家にとっては良い目印となっているようだ。
化石の証拠からカカポはかつてニュージーランドの沿岸から高山までの大部分に生息していたことが示唆されている。
カカポの繁殖 リムノキに依存
カカポはレック繁殖と呼ばれる非常に珍しい繁殖システムを持っている。
オスはレックと呼ばれる場所に集まり、声を出したり手の込んだダンスを踊ったりして、メスの気を引くために競争する。彼らは地面にお椀型の窪みを作って、けたたましい鳴き声を増幅させる。
繁殖期になると、オスのカカポは「ブーン」という深い鳴き声を出し、毎晩8時間、3ヶ月以上も鳴き続ける。この鳴き声は遠くからメスを呼び寄せるために使われる。
このブーイングに加え、やはりオスは求愛ディスプレイの一部として「チーン」という甲高い音も出す。もしテストで出そうなときはブンチンなどで覚えるといいと思われる。
リムの木はニュージーランドの固有種であり、真っ赤な実をつける。
そしてこの2-4年おきに起こるリムの木の結実期とカカポの繁殖期は重なることが多い。
これはリムの果実の高エネルギー含有量にカカポのエネルギーが大きく依存するためだ。
こうした高カロリーの食餌は卵を産み、ヒナを育てるのに不可欠といえる。
現在かなり危険な絶滅の危機に瀕していることから、カカポの繁殖は人間の介入によって補助されている。
これには補助給餌、巣の監視、時には生存率を上げるためのヒナの手飼いなどが含まれる。卵やヒナはしばしば、捕食者のいない島や囲いに移され保護されている。
カカポの保護 250頭しかいない鳥
遠くから人が到来し、それに伴って捕食動物が持ち込まれる以前のニュージーランドにはカカポの天敵はいなかった。この隔離された環境のため彼らは捕食者から逃げる必要はなく、飛ぶ能力を持たない今のような姿に進化したのだ。
彼らの生存を脅かすのは虎や狼ではない。
持ち込まれた捕食動物や環境を変える本来島にいなかった動物たち。具体的にはネコやネズミ、ヤギなどだ。人間から見れば大したことはないがカカポにとっては大事である。
我々の感覚でいえば街中にトラやホッキョクグマが歩いていてそこらじゅうでシロアリが家を破壊しているようなものだろう。
絶滅の危機に瀕しているがニュージーランドの人の集中的な保護活動のおかげで個体数は絶滅寸前から少しだけではあるが復活した。現在個体数は250羽ほどである。ニュージーランド自然保護局(Department of Conservation)によってそのすべてが注意深く監視されている。
先述の国際的に有名になったシロッコは現状保護活動の効果的なスポークスマンとして大きく役立っている。
実際にCritically Endangered、CRという最も絶滅に近い区分とされている彼らにしたら必死のアピールのパフォーマンスだったのかもしれない。
成果はどうか、2024年現在、2600万再生である。
ちなみにBBCの放送なのであるがBBCのユーチューブでの購読数は1400万だ。
それを考えると余計にシロッコのパフォーマンスは凄まじい効果だったとわかる。
こちらは2年後のシロッコ先輩の姿である。
ネコやネズミのような外来捕食動物からカカポを守るため、カカポはコッドフィッシュ島(Whenua Hou)やアンカー島など、ニュージーランドにある捕食動物のいない島に移されてきた。
本来の暮らしていた平和な居場所から強制移動させられるカカポは可哀そうではあるが、これらの保護区は今となってはカカポの生存と回復に不可欠といえるのかもしれない。
現在カカポの保護活動には彼らの動きをモニターするGPS追跡システムや、卵の成長に必要な自然条件を再現するスマート卵孵化器など、最先端の技術が使われている。
個体数がわずかのため遺伝的健全性はカカポを保護する人間にとって大きな関心事である。彼らは近親交配を最小限に抑え、遺伝的多様性を維持するために繁殖ペアまでを管理している。遺伝子分析を行いながら精密に取り組んでいるようだ。
今や彼らの保護は国内外を問わず一般の人々の大きな関心と支持を集めている。
さまざまなキャンペーン、カカポの里親プログラムまである。
ソーシャル・メディアがカカポ保護のための資金集めと意識向上に重要な役割を果たしているのだ。
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